イケダハヤト氏が以下のエントリーを記述していました。
うちのブログは「月間で115万時間」閲覧されています:PVに代わるKPIは「滞在時間」じゃないかな
『これからはPVよりも「閲覧時間」で媒体価値が判断されるんじゃないかな』とのことです。
※彼の計算だと、ブログのPVが月間115万PVとした場合、1PVあたり1時間も閲覧されていることになります。ありえないですよね?きっと何処かで計算間違いがあると思います。
追記:やはり3600秒ではなく60秒で割っていいるようです。
重要な指標はPVなのか滞在時間なのか?
最近この手の論争が多数見受けられますが、なんだかPVか滞在時間かという二者択一になってる気がします。これって野球で言うと、打率と安打数のどちらかでバッターの優劣を決めてしまうのと同じじゃないですか?
ブログにおける広告効果を野球のバッターに当てはめてみましょう。
例えば打率や打数が良くても、敗戦処理投手にやたらと強いようなバッターは勝利には貢献していません。逆に、接戦時の得点圏打率が異様に高いバッターは、勝利に貢献するバッターと言えます。
ブログにも同じことが言えるのではないでしょうか?PVや滞在時間という指標が良くても広告効果の低いブログは少なからずあるはずです。当然ながらその逆もあるでしょう。
話を例えの野球に戻して、仮に前者が3割バッターで後者が2割5分バッターだったとします。チームにほしいのはどちらでしょうか?間違いなく後者ですよね?既存の大雑把な数値では測れないアビリティーが隠されている典型です。
このような数値化を野球において突き詰めたのがセイバーメトリクスです。アメリカのメジャースポーツはこの数値化による分析がものすごく発達していて、野球だけでなくバスケなどにも利用されています。
そうすると本質が見えてくるのです。一見派手な数値を残している選手よりも、地味で年俸は低いけど実はすごい働きをしている選手が。
この手法を応用したオークランド・アスレチックスのGMビリー・ビーンがニューヨーク・ヤンキースの予算の1/3で常勝軍団を作り上げたのは有名な話で、ブラッド・ピット主演映画『マネーゲーム』にもなっています。
セイバーメトリクスのような多角的評価が必要
PVか滞在時間かという選択は近代の統計手法から鑑みれば滑稽な話です。どちらか一つを選択しなければならないわけでもないのだから、どちらも基礎的指標として考えればいいじゃないですか。
本気でやるとなると、おそらく野球のサイバーメトリクス並に複雑なものになりそうです。この辺りの指標設定はは数学の天才に任せるとして割愛しておきます。
手持ちブログの滞在時間を試算してみた。興味深い分析結果も出ましたよ!
いつも登場する2大手持ちブログAとBで滞在時間合計を試算してみました。データは直近30日のGoogleアナリティクスのものです。
ブログA 2年2ヶ月運営
- PV:699,664
- セッション:220,980
- ユーザー:151,256
- 平均セッション時間:2分20秒
ブログB 8ヶ月運営
- PV:694,968
- セッション:211,433
- ユーザー:109,651
- 平均セッション時間:5分5秒
この2つのブログは同一ブログで運営してもよい同じジャンルのものなのですが、更に内容を細分化するべく分離したものです。
ほぼ同等のPVを2つ持っていると比較対象として考察しやすく重宝しています。一つしか持っていないと自己分析がどうしても浅くなってしまいます。
前提として、セッションとは訪問者数のことです。一人のユーザーが何度も閲覧することもあるので、ユーザー数より大きい数値となります。平均セッション時間は訪問者あたりの平均滞在時間です。
面白いのはPVやセッションがほぼ同様なのに対し、ユーザー数と平均セッション時間がかなり異なるところです。
まずはそれぞれの月間滞在時間総計を計算してみましょう。計算式は以下のとおりです。
セッション☓平均セッション時間(秒)/3600
ブログA 699,664PV☓140秒/3600(1時間あたりの秒数)=27,209時間
ブログB 694,968PV☓305秒/3600(1時間あたりの秒数)=58,879時間
とりあえずこのような結果が出ました。2つ足しても10万時間も行きません。
広告効果は滞在時間に全く比例しない
ブログBはブログAに比べて2.16倍も滞在時間が長い事がわかりましたね。滞在時間通りに広告効果が現れるのなら2倍以上の収益性がないといけません。それでは実際はどうなのでしょうか?
ちなみに前提として、両方のブログの構成は全く同じにしてあります。
実はブログAのほうが1.23倍収益額が高いです。当然ながらクリック率やクリック単価も高いです。
滞在時間基準では2倍以上の収益があるべきブログBは常に完敗しています。過去8ヶ月、各種指標で一度足りともブログAに勝てたことがありません。
この結果からもわかるように、滞在時間が長いからといって広告効果が高いなんてことはまったくもってありません。
では、なぜこのようなことが起こっているのでしょうか?
ブログAとブログBには若干の差があるのです。ブログAはデータを扱っており一記事あたりが1000文字程度です。一方のブログBは文章が主で平均すると2500文字以上あります。
あくまで私見ですが、ブログAでは閲覧者はさくっと読んで広告をクリックして離脱しやすい反面、ブログBはじっくり読んで力尽きる閲覧者が多いのではないかと思っています。
まとめ
広告効果に関してはPVと滞在時間という2つの指標だけでブログを評価するべきではないということが、わかったかと思います。やはりセイバーメトリクスのような評価基準が必要となります。
広告主にとっては費用対効果の高いブログと提携するのが一番であり、彼らの基準で言えば単純にクリック数や実際の収益額が高いブログこそが有力提携先となるでしょう。
ただし、ブログと広告主の相性問題もあり、事後にはわかることも事前にはわかりません。そうなるとやはりセイバーメトリクス的な手法でブログの能力予想をするのが賢明かと思われます。
実際にはPCとモバイル/タブレットと、デバイスごとの集計も必要ですし、広告の実露出時間も大きく関わってきます。
例えば、スマホでいうと下部に固定された広告とスクロールして消えてしまう広告とでは当然ながら収益性が異なります。PCの場合にもスクロール連動型広告と固定広告では差が生じるでしょう。
記事広告の場合には、『当該記事の滞在時間=広告効果』になるので、広告主に喧伝しやすいかもしれません。そのため、良質なブログは記事広告にシフトしていくべきでしょう。
しかしながら、バナー広告の場合にはブロガーは広告主に対して過剰な数値を示さないように気をつけなければなりません。
この辺りの条件を論じずにPVか滞在時間かと論じるのは矛が強いか盾が強いかといっている故事のようなものです。
プロブロガーじゃないフルタイムブロガー(Full-time Blogger) ぶらり人 Saksak
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